――夢を、見ていた。


わずかな熱にすら、命を脅かされひどく心細かった。

無機質な空間で、点滴のチューブだらけの腕。


女性に突き放され、ひとりの少年が目の前で倒れた。

薬の副作用のせいだろうか。髪の毛や眉が抜け落ち、幽霊のような風貌になっている。


目が合った。


意識が朦朧としているのか、目が虚ろだった。

そっと、その頭に触れた。

人肌が、染み渡っていくのがわかった。

熱への恐怖が収まってくる。


「苦しい……?」


そう聞いた途端、少年の目から涙が溢れ出した。


「苦しいよぉ……」


初めて、それを理解したような声だった。

感覚を封じて、身を守ろうとしていたのだ。

そっと、少年の傍に身体を寄せ、いつまでも離れないでいた。