「やあ、恵理夜お嬢さん」


恵理夜は呼び出しにしたがってヤマザキ夫妻の部屋を訪れていた。


「ヤマザキ先生、いかがいたしました」


失脚が目前となり、老人の顔は蒼白だ。


「シラヤナギのことで……」

「貴方も存外に頭が悪いんですねヤマザキ先生」


恵理夜はため息をついてきっぱりと言い放った。


「私は、叔父様にどうすることも出来ませんよ」

「けど、実際に君はこの間襲われていたじゃないか、シラヤナギの指示した奴らに」

「……貴方も、案外、頭が悪いわね」



あの人も、案外、頭が悪いわね――

恵理夜は、ヤマザキから報告を受けた日と同じ口調で言い放った。