「まさか、謎解きが全て正解だとは思いませんでした」


恵理夜の自室に戻りポットの電源を入れながら、春樹がポツリと呟く。


「あの状況で、同じような思念を抱いていたら、全員が犯人か、全員が無実かのどちらかだもの。叔父様が仕掛けなかったら起こりえなかった事件ね」

「なるほど」

「あとは、薬が見つかれば全てが解決よ」


すでに、薬の時間になっていた。しかし、春樹はいつまでたっても薬を差し出さない。


「春樹、どうしたの?」

「シラヤナギ様からの薬も、盗まれました……」


春樹の持つ薬箱は、確かに空だった。


「……何が目的なのかしら」

「疑って、いるのですか」


恵理夜は、その問に対しては不適に微笑むだけで答えない。


――その時、内線が鳴った。春樹が、受話器を取る。


「……お嬢様、ヤマザキ様からでございます」


恵理夜は、受話器を受け取った。