「……春樹が、白血病だったからよ」

「え……だって、今、あいつ……」

「薬さえ投与していれば、普通の人以上に動けるわ。ヒジリ博士の研究のおかげね」

「なんで、離婚しちゃったんだろ」

「レミコさんが春樹を手放したかったからよ」

「あー、なるほど美しいもの信者だから?」

「多分、ね」

「それで、レミコ様はヤマザキ様と再婚したって訳だー」

「そうね」

「やっぱ、レミコ様は金目的だよなー。美しいもの信者の夫にしては、ちょっと肥満が行きすぎでしょあれは」

「ご本人に聞いたらいいじゃない」

「無理無理っ。俺、クビになった挙句、外の世界でも生きていけなくなるって」

「確かに、レミコさんは執念深そうね」


あはは、と夏樹は笑って恵理夜を促すように歩き出した。