「一人、だよね。春樹もいないなんて珍しいじゃん」

「たまには、一人っきりになりたいじゃない」

「じゃ、たまには俺といよーよ」


夏樹は親しげに恵理夜の隣を歩き出した。


「そーいえばさ、《Dレポート》を作ったヒジリ博士って、春樹の父親なの?」


恵理夜は足を止める。


「知らないわ。ヤマザキ先生の子ではないのは確かだけど」

「さっきさ、イチジョウ医師と春樹が話してるの聞こえちゃって」

「……そう。レミコさんは、前の夫と春樹が生まれてから別れた、とは聞いたけど」

「なんで?」