「ふがっ」


夏樹の視界が黒一色に染まった。

そして、首に袖が巻きつき、じわじわと締め付けてくるのがわかった。


「クリーニング、お願いね」


肩から上に制服を巻きつけた夏樹は、背中から倒れるようにして部屋を追い出された。


「お嬢様、はしたないですよ」


嗜めるような響きで、春樹はブラウスを羽織らせた。

スリップ一枚に黒の靴下という出で立ちに呆れているようだった。

若干視線を逸らしているあたりが真面目というかいじらしい。

恵理夜は苦笑しながらブラウスに袖を通した。


「夏樹、あの性格さえ直せば、優秀には違いないのにね」

「同感です」

「でも、あの性格があってこそ、ここでやっていけるんでしょうけどね」