光の中で、母様は微笑んでおられた。
優しく差し伸べられたその白く細い腕は、突然、わたしの前から消えていった。
辺り一面真っ暗闇に包まれ、母様の姿も見えなくなった。
母様は殺された。
心は死んで崩れ落ちてしまったのに、その心臓の鼓動が、止まることはない。
ただ、ただ、母様の悲しい笑い声がこだましていた。
その悲しさに耳を塞げば、場面はあっという間に変わってしまった。
「お祖父様、廉死んじゃう」
父親の反り血を浴びた自分を抱きしめる祖父に呟いた。
いつかこうなるだろうと思っていた。
男子のように気性の荒い貴族の姫はあまりにも聡すぎた。
「この手紙を持って、東へ逃げなさい。隣国の貧しい村にわたしの弟子の李漢という男がいる。その男を頼りなさい」
強く強くわたしを抱きしめる祖父の武骨な手は、わたしを地獄の旅路へ送り出した。
祖父に手渡された手紙を手に、東へ向かった。
わたしはまた、血の海に沈んでゆく……