シュガースパイスな君

そこはかとなく、大好きアピール……うん、馬鹿です。穴があったら入りたい……。
「これでいい?」

「え…、うん……?」

いいのか?健全な男子と添い寝だぞ?無防備すぎねぇか?いや、嫌われたくはないから、まだ襲ったりはないけどもさ…

「じゃあ行こっか。」
とりあえず、もう10時だからな。眠みぃ。
この言葉…下心は無かったんだけど、痛い……視線が痛い……
「…………。」

「そんな、睨むなよ。いきなり襲ったりゃしねぇからよ。」

「んなっ///」
あ…真っ赤……もしかして…
「襲ってほしいのか?」

すごい勢いで首をふる琥珀。何もそんなに力強く否定しなくても……なんか……ムカつく…。姫抱っこしてやる…。

「……ん?」

「って、えぇーーっ!!」
うるせぇ…けど、可愛いから許す。またノロケ……
「ん?なんだ文句あっか?」

「文句大有り!!重いから降ろしてよ!」
重くねぇし…異常なくらい軽いけど…?
「やだね。」
襲ってやろうか。でも嫌われたくはないから…額ならいいだろ
って、額にキスをした。

――ポスッ
寝室についたから、優しく、ベッドに琥珀を置く。
「んじゃ、おやすみ〜。スカー」
寝たフリしてやる…。

寝たフリを信じたらしい琥珀は布団に身を預ける。
「おやすみ〜。」

少しして、琥珀が寝た頃、瞳を開く。

……寝顔も可愛い…。そうとうハマってる。おれ…やべぇな。
「ふぇ…?」
「…あ、起きちゃった?」
あんまり可愛いから寝てる琥珀を抱きしめてしまった///

「な、な、な………!///」
「大丈夫だよ。何もしないから……」
「ん……温かぁい///」

寝ぼけてんのか…?やけに素直……。2言目と3言目の違いが………。幸せな顔しやがって。

……………1日目終了








《出逢いの条件完結》



大地が女の子といる…。

なんか……やだ。

胸が苦しくなる。

別に好きじゃ……ないのに…。

モヤモヤして、イライラする。

好きじゃ…ないはずなのに……。

なんか女の子と笑ってる大地を見てると…悲しい…。

ねぇ…この感情の正体は……………何…?
【琥珀Side】

………………。

……………………。

「ふぁーーあ…。」

朝の光に目が覚める。
上を見る。
知らない天井がある。
そもそも、
左には、長いまつげが綺麗な男の子
………なんで?

あ、そうか、
あたしこの人と結婚したんだ。
……………何あたし冷静に考えてんの?

「そういえば、今何時…?」

近くにあった時計を見る。

………………。
………………え?
入学式の開始時刻は、8時15分
登校時刻は、8時

今の時刻は…………7時45分

学校まで、徒歩10分余り

……………。
ヤバい……。
今から準備してたら、完璧遅刻じゃん!!!

「ちょっと!大地!!!起きろー!!」

「んー…後5分ー…」

「バカ!!早くしないと遅刻ー!」

ガバッ…

「えっ、マジっ!?」

「嘘ついてどうすんのよ!バカー!」


【大地Side】

「大地!!!起きろー!!!」

……んー…誰だよ。
あー…琥珀だ…昨日結婚したんだっけ……
「後5分ー…」

「バカ!早くしないと遅刻ーー!」
……………え?

「マジっ!?」
「嘘ついてどうすんのよ!バカー!」
こいつ人のことバカバカ言いすぎだ…じゃねぇ、急がねぇと!!
□■□■□■□■□
【琥珀Side】
ブロロロ…………

「はぁー……」

遅刻寸前
ギリギリセーフ
あたし達はあの後、
急いで着替えて、家を出た。
そしたら、そこには、迎えの車。
……食事は車内で済ませました。遅刻しそうだったから、車はすごいスピードだし、もう気持ち悪いのなんのって……。
お陰で遅刻はしなかったんだけどさ。

【大地Side】

…………。
おれは今日、久しぶりに寝坊した…。
んで、急いで家を出たら、迎えの車。運転手はおれの馴染みの“狼”。
☆★☆★☆
狼っていうのは、うちでは執事が4人いて

<高ランク>
獅子(しし)
彪(ひょう)
狼(おおかみ)
鷹(たか)
<低ランク>

っていう妙なランク付けがある。んで、ワンランクずつ1人。だから、これが呼名になる。
☆★☆★☆




――――キーンコーン……



【琥珀Side】
あたし達は教室に行く。
さっき見たらあたしと大地は同じ2組だった。

「おいっ、お前もっと速く走れないのかっ!?」

「む、無理だよぉ〜…」
――グイッ
「ひゃっ!」
いきなり、大地はあたしの手を取りそのまま全力疾走。
「だ、大地〜?」

「…………。」
何度転びそうになったか、目の前には教室の扉。大地は手を離さない。
ねぇ、このまま、教室入るの…?聞く間もなく、
―――ガラガラッ
生徒は、人が入ってきたことに興味はないらしい……が、ただ1人…振り向いた男の子。
ニンマリとしたかと思ったら

「お前らってデキてんの?」

その声につられ、クラス全員こちらを見る。

は…恥ずかしいっ…///

なのに、大地はあたしの手をより一層強く握って、

「あぁ、付き合ってるっていうか…もうけっ―――」
急いで、大地の口を塞ぐ。付き合ってるだけでも、言われるのは嫌なのに、結婚してることまで言われたら………///

「付き合ってるだけです!!!」

「モゴモゴ…」

「大地ちょっと来てっ!」

繋いだままの手を引いて空いてるであろう教室に。
「ちょっと!!何結婚してることまで言おうとしてんの!?」

「駄目なのか?」

「恥ずかしいでしょ!」

「絶対その事はいっちゃダメだよ!!!」

「なんで?」

「恥ずかしい!」

「あっそ、おれと結婚してることはそんなに恥ずかしいのかよ。」
「いや…そんなんじゃないの!」

「んなこと、どうでもいんだよ…。じゃあな」

と言って、大地は教室に戻る。
あたしも教室に戻る。

既に席に着いた大地を見ると、女の子と笑ってる大地…。

―――ズキッ

……なんだろう?ズキッって…
なんであたし……泣いてるんだろう…?

そこに居たくなくて、逃げ出した。行き先は決めてない。この辺りは昨日来たばかりだから何も知らない。

―――――――――…

気付いたら、電車に乗ってた。

なんとなく、ケータイのディスプレイを見ると、着歴には《大地》の文字がたくさん。電話をする気にもなれず、外部のトレース(追跡)を避けるためにあたしは、ケータイの電源をきって登校してから1度も手放していない鞄の奥底に眠らせた。


……なんで?
なんで大地はこんなに期待させるようなことするの?
もう、あたしに呆れたんでしょ?愛想尽かしたんじゃないの?
何がしたいの?
もう、やめて……。

考えてるうちに、すこしだけわかったことがあるの…それは…
あたしが…あたし達がもっと昔、会ったことがあって…その頃は大地のこと…考えてること…好きなものも嫌いなものも…お互いに、本人以上に相手を知っていた。だからかな…?
今、大地のこと…全部…なんにもわかんないことが、すごく、すごくつらい…。
こんなこと考えてるのは、あたし、知らないうちに大地のこと……好きになってたんだ…。こんなにも大好きになってたなんて…自分で気づけなかった…。

――――――……

【大地Side】

教室に戻るときに、後ろにいた琥珀は変わった様子はなかった。まぁ、暗い顔はしてたけど…。
教室に入って席に着くと、昔からだけど、大概の女がおれに話掛けてくる。女は怒らせると、何するかわかんねぇからとりあえず笑って軽くあしらう。

何気なく、琥珀の席を見る。

………?いねぇ…?
おれが席に着く前はまだいたはず……トイレにでも行ったのか?
とか軽く考えてた。もっと早く動くべきだったのに……。
確か1限目は自習のはず。
………少し待ってみたが、琥珀はどこにもいない。いい加減おかしい。
「おい、琥珀知らねぇ?」



「琥珀?あぁ、月代さん?なら、なんか走ってどこかへ行かれましたよ。泣いていましたが…。」

え…?
「泣いて? 走って?」
あいつ、この辺のことまだ何も知らねぇのに……。あいつが街にでも出たら、変な男に捕まるに決まってる。
「悪りぃ。今日、早退!!」

「え…あ、はい。お気をつけて。」

急いで下駄箱へ駆ける。本当はそんな余裕はねぇけど上履きを下駄箱にしまう。

あいつ、GPSのトレース振り切るために、ケータイの電源切りやがったな。

それから、なんとなく駅に走る。なぜか確信に似たものがそこにはあったから。

―――――……

ガタンゴトン…

「はぁっ、はぁっ…ケホッあのすみません。」
駅員さんに聞く。
「はい…?」
「あの、この女の子、見ませんでしたか?」
ケータイの画面を見せる。
昨日、何かあった時の為に写メを撮らせてもらった。案の定、必要となったが。
「えぇと、この方とはどのような関係で…?」

「え…あ……夫婦です。」

「…そうですか。お若いですね。」

「あぁ、で、見たのか?」

「えぇ、日暮方面へ」

日暮…琥珀が住んでたところだ…。あいつ…日暮に行ったのか?