キラキラ揺れるピアスは長い髪の毛の隙間から顔を出す。


影は濃度を落とし、肌に馴染んでいく。

頭の上にある電線に止まったカラスは真っ黒で、だんだんと空の色と重なり姿を消す。

夜の手前は不気味で怖かった。


「……」

返事はせずに、もっと強く手を握った。

きっと彼は明日から下の名前で呼ぶのだろう。


初めて名前を呼ばれた、彼の声に輪郭を覆われた気がした。


非現実的過ぎて、なんだか夢の中のままのよう。