オシャレが好き。
だから友人と遊ぶ時も、家族と出かける時も、アルバイト中も、
当然彼とデートをする時も、いつだってピアスをしていた。
誰かにピアスを外されるのは初めてだった。
なんだか怖かった。
そして……ピアスホールに話しかけることができるのは、彼だけなんだと初めて知った。
なんだか不思議だった。
凄く嬉しくて、“切なかった”
看護婦さんみたいなお姉さんに耳を消毒された時みたいに、
彼の手が触れる度に綺麗になっていくような気がした。
掃除をして清潔になるような。
「……――って呼ぼうかな」
小さな囁き声が、重くなった耳に入った。