そしてファーストピアスを嵌めてからも、

安定するまでの消毒は、病院で渡されたジェルのようなもので きちんと行った。

お風呂も寝るのも髪を梳くのも、ピアスが引っ掛かるのがいちいち怖かった。

けれど、いつしか慣れて怖くなくなっていた。




――無言の彼氏は前を見たままで……

夜を運ぶ太陽の光りは、黒染めした彼の髪を昔のように少し茜色に染める。

彼の髪がまだ微妙に赤かった頃より二人は変わった。

たくさん同じ時間を過ごしてきた。もう戻れない。


恋人としてのステップアップなのかは謎だ。

正直、分からない。