そっと外してくれた彼は、丁寧に、そして大事にピアスを机に置いてくれた。 ピアノを弾くような手つきを、ただ眺めていた。 慣れは怖い。 多分、いつか怖くなくなってしまうのだろう。 そんな風になることが怖かった。 いつの日か、自分でピアスを外すようになるのかもしれない。 彼はピアスなんて雑に扱うかもしれない。 ううん、外してくれなくなるかもしれない。 そんな日が怖かった。 ずっとずっと今みたいで居たくて――