「――……」 三回目。下の名前で呼ばれた。 すると、ようやく二人の魔法が解けたらしい。 張り詰めた空気が、ふわふわと変わる。 だんだんと世界は桃色に変わる。 好きになって良かったと思う。 彼の彼女になれて良かったと思う。 彼が彼氏になってくれて幸せだと思う。 贅沢者だと思う。