初めて家の前まで送ってもらった。

お見送りなんてバカップルみたいで嫌だった。

近所の目が気になるし嫌だった。


けれど、一人で歩けないと思ったのは初めてだった。

お見送りなんて、今までは駅までだった。

今は家まで。
きっと今度から彼は毎回送ってくれるのだろう。



……些細な変化を、柔らかな優しさを、きっとこの先忘れてしまう。


不安だった。

いつか好きがなくなり、離れるのかと思うと、怖かった。

離さないでほしくて、必要としてほしくて――、違う。

好きでいてほしい。