けれど、そうなると、いよいよ戻れない。
彼氏彼女の歴史が深まると幸せな分、なぜだか切なくなる。
その理由はよく分からない。
じんわりと外灯が付く。
闇に浮かぶ明かりの違和感が怖くて、離れないよう彼の手を握り直した。
……黒と白は怖かった。
けれど軽くなった耳に彼の声が届くから、自然と不安は和らいだ。
あんなに頼りたかったのは初めてだった。
必要だった人。
隣を歩く人、一年前はただの他人。
不思議な関係。
彼は彼氏で、自分は彼女。
変化していくのが嬉しいような、淋しいような複雑な気持ち。
新しいことは怖い。