細く開いた窓からは地下水がしみこんできており、このままじゃ窒息もしくはがれきの下で圧死するだろうと思われた。

 姉が震えながら、泣き出しそうに言った。



「こんなのもういや」



 ママが勇者のように言った。



「勇二がまだ下にいるわ。あたくしは残ります。あなた、レイナを連れてレスキューを呼んできて」


「それじゃあ、おまえ……母さんはどうするんだ」



「いいんだよ。足手まといになるくらいなら、ここで孫を見守っているよ」



 そう言ってパパのママは窓のスキマから差し出した手をシワのある暖かな手で包み込んでくれた。