「ここどこなのよ! ここは安全でクリアな日本文化の町でしょう! ちょっとくだったからって、土砂崩れ? なにそれ、僻地じゃあないのよ! ああああー! 勇二、一番つらいのはこの子なのに、あたくしは何もできない……勇二、ゆう……」

絶望に母が慟哭で叫んだときだ。



 は~るう~は、名のみ~のお、かあぜえ~のさあむさやあ~



 ぽつぽつとパパのママの声が聞こえてきた。

 
 ときい~に、あ~らずう~と、こえ~もた~てずう~う。



「時にあらずと」



 待っています。


 待っております。



 いまここにおります!

 美しくは鳴けないけれど、声高には言えませんけれど、今ここに助けを信じて待っております。