すっと、パパのママが差し出したのは、キャリアを誇るママが、決してできない『手編み』のストールで、当時ママは、『手編み』のセーターなんかをボクが受け取るのを見て、

「なんですか?! あたくしが夫とこの子らに寒い思いでもさせてるっていうんですか?うちは床暖房だし、毛糸の帽子なんて、スキーに行くついでに買うものでしょう!!」

 毛糸を見るのも嫌がるくらい、パパのママを憎むように見てた。

 まるであてつけのように見えたのだろうか。

 でもパパのママは編み物を止めなかった。

 いきがい、と言っていて、誰かのためと思えばすいすいできてしまうとも……。

「そんなことをしたら……義母様はご自分の身を考えて下さい。ご自分も要救助者だってこと、忘れないで下さい」




「では、せめて勇二さんに」

「義母様!」