「春斗、お前、スゲーな、こんな数ばっかの奴書いちゃうんだなぁ」 教室中に、俺の声が響く。 「桐谷くん、静かにしなさい」 「うるせーな、厚化粧」 みんながげらげら笑って 厚化粧の佐伯先生が顔を真っ赤にする。 「黙りなさい」 「あっ、俺もう黙る。ってかもう帰る。俺今から、愛する女の子に会ってくるんで」 にっこり笑えば クラスの女子は魅入ったように目をトロンとさせる。 「礼くんバイバイ」 「礼、またね」 「桐谷くん、また今度」 春斗に視線を向ければ、 黒髪を風に揺らして、数式を解いていた。