「馬鹿ね、長谷川は。確かに音梨は好きだけど、ちゃんと好きな人いるわよ。男で」
「つまらんのぉ。ま、お前に好きな人がいるという情報は入ったけどな」
「あ」
くそっ、自分で言っちゃったよ。
「で、誰なんだ?教えろや」
「いやよ」
ちょっと顔を赤くして、そっぽを向いてみた。
私には、好きな人がいる。
同じ部活で、名前が可愛くて…
友達の、大親友の、歳は一つ上の幼なじみ。
……もうバレちゃったよね。
田中 沙那。
音梨の幼なじみ。
ずっとずっと好きだった。
だから、小学校のときから同じ部活に入る、って決めてた。
中学校にあがって、席が隣だった女の子、音梨に出会った。