「……じゃ、行こっか」


「う、ん…」


私にはこれ以上、聞けなかった。


怖かった。


音梨に、なにかあるんじゃないかって。


知るのが怖くて、現実から目をそらした。


今、音梨はどんな気持ちなんだろう。


音梨は、大丈夫なのだろうか…。


「葵さーん。おはよう」


「あ、おはよー」


学校に着く頃には、音梨の息切れは治っていた。


「神永さんも、おはよ」


「あ、おはよう」


私は、今笑っている音梨を見つめていた。


「……同性愛か?」


「うわっ」


後ろから声をかけられた。


同じクラスの


長谷川 登
ハセガワ ノボル

だ。