「葵音梨様のご家族はいらっしゃいますか」
そこに、さっき音梨をつれてった看護師さんと、医師の人がきた。
「11:28…葵音梨さん、ご臨終です」
目の前が、真っ暗になった。
なんでだろう、涙も出ない。
だって、心のどこかで音梨は生きてるって、信じてるんだもん。
「手は尽くしたんですが…」
なにそれ。
手は尽くした、って。
みんなそればっかじゃん
ねぇ…音梨はどこ?
ねぇ……。
音梨、もう一度笑ってよ。
音梨、また喋りたいよ。
音梨…戻ってきてよぉ…
「っ、うっ…。うあー…ん、うぁーっ…」
そのとき私は、初めて実感した。
音梨がいなくなったことに…。