その直後、音梨は紙に何かを書いた。


“まだあけないで”


「…うん、わかった」


私は、その手紙をバックに大事にしまった。


「葵音梨さん、お時間です」


音梨は、紙に


“ばいばい”


それだけ書いて、看護師さんとどこかへ行ってしまった。


「………音梨はね、病気なんだよ。喉のね」


田中先輩は、話しはじめた。


「喉だけならいいんだ。ま、よくないんだけどさ。音梨はね、喉だけじゃないんだよ」


私は、田中先輩のほうを見る。


喉の他にも、あるの…?


病気が…。