「…鈴香、大丈夫か?」
和樹がそう言って私の背中に触れた。
その瞬間にあの時の感覚が蘇ってきた。
「嫌っ!」
即座に手を払い除けてしまった。
「あ……、ごめっ…」
一度払い除けた手に自分の手を伸ばした。
「大丈夫。気にすんな」
伸ばした手を握りながら言った。
「無理に聞かなくていいよな、先生?」
和樹は私を通り越して、
壁に寄りかかっている宮下に声を掛けた。
「……あぁ」
「和樹。
少し俺と北川、二人にしてくれないか?」
突然で和樹も驚いた様子だったけど、
はいはい、と言いながら病室を出て行った。
また沈黙が続いた……