誰かの声が聞こえる…
瞼を開けようとしても重くて動かない
必死になって開けた瞳に眩しい光が差し込んだ。
「鈴香っ?!大丈夫か?!」
久しぶりの光にまだ目が慣れない。
声の主も誰だか解からない。
だけどだんだんと慣れてきて、
目に映ったものは病院の天井と
和樹、そして宮下の顔。
「宮、下………。
かず…き…」
「何で俺に言わなかったんだよ…。
何でも言えって言っただろ…」
和樹が私を抱きしめると同時に
フワッと和樹の匂いがした。
大好きなこの匂い。
安心できる和樹の匂い。
「……っ、ごめ…ん。
心配掛けたくなか…った」
和樹の腕の中で泣く私の頭を
宮下が優しく撫でてくれた。
「先生呼んでくるわ…」
そう言って宮下は病室を出て行った。