百合はにこやかにお邪魔しますと言って部屋に入った。

その笑顔はすごく不気味だった。

昨日は清楚系の洋服だったのに今日はロンTにスウェット姿。

ジュースと灰皿を出すと、昨日は全く吸わなかったタバコにすぐ火をつけた。

煙を吐き終わると言った。

百『で、全部聞きたい?』

百合は足をたてて膝に手を乗せ、冷めた表情、怒った口調で言った。

美『なんにがなんだかわからなくて・・言って?』

百合はまた一口タバコを吸って話し始めた。

百『わたしさ、美紗子のことずっと嫌いだったんだよね。絶対見返してやろうっていつも狙ってた。だから今回、盗ったの。チャンスだったし。それと、手出したってのも嘘。出されてたのは美紗子だもんね。手段なんて選ばない。やれることをやっただけよ。』

そう言ってタバコをジュッと消した。

美紗子は呆然としていた。

言葉が出てこなかった。

百合はまだ続けた。

百『あんたもわたしが嫌いだったでしょ?』

美『そんなことない!親友と思ってた。信頼してた・・』

百『そういや、あんたの取引先の元彼さ、なんで消えたか知ってる?』

美紗子の言葉を遮って百合が言った。

美『知って・・るの・・?』

百『知ってるよ?あいつに美紗子があんたの性癖がキモイって会社で言いふらしてるって言っただけ。気をつけたほうがいいよーってね。』

美紗子は口に手を当てて絶句した。

百『思い当たるところがあったんじゃない?元彼も。そしたら元彼、会社辞めちゃったみたいだね。』

百合は笑いながら言った。

美『どうして・・』

美紗子は涙をこらえることができなかった。

百『わたしに持ってないもの、全てを持ってるあんたがむかつく。だれでもが認めるあんたがいや。昔から比較されてきてどんな思いしたわからないでしょ?』

美『どうして?わたしは何もないよ。百合のほうがかわいいし頭いいし・・』

百『黙れ。』

美紗子はビクッとした。

百『わたしの好きになった人は3人、美紗子が好きだった。』

百合はまたタバコに火をつけて続けた。