竜『寝るか。』
その言葉に美紗子は
美『じゃあわたしら帰るね。』
そういうと驚いたように毅が
毅『泊まってっていいよ。雨だし酒飲んで運転できねーし。』
その言葉にさっき決心したばっかりなのにまたドキンとした。
”同じ部屋で・・??”
美『うーん、でも迷惑じゃ・・』
毅『百合ちゃんもう寝てるじゃん。毛布持ってくる。』
そう言って部屋から出た。
美紗子は竜次と顔を合わせていいのかな?というふうに会話していた。
その時、部屋に置いたままの毅の携帯がまた鳴った。
さっきと同じ着信音。
”さっき長電話してた人じゃないのかな・・??”
竜『もしもし。』
竜次がすぐに出たので、素で美紗子は驚いた。
”知ってる人なんだ。”
竜『俺らもう寝るからまた明日電話してやって。え、2人2人。おう、じゃ。』
そう言って電話を切った。
”2人って・・他に誰かいないのか確かめたんだね。今の人。”
そう思ったが普通に
美『大丈夫なの?』
と言った。
竜『ん、大丈夫じゃね?今の、うちのマネージャーだからさ。』
そう言ったとき毅が毛布を抱えて入ってきた。
竜『あ、お前の携帯に里香から電話きたから寝るっつって切ったけどよかった?』
毅『ん、大丈夫。ありがと。』
不思議な感覚に美紗子はなったがもう考えたくなかったから目の前にあった酒をぐいっと飲んだ。
毅も寝酒といってテキーラを飲んでいた。
それに便乗して竜次もまた焼酎を飲んだ。
美紗子が飲んだお酒は白ワインだった。
珍しく百合が焼酎以外に飲んでいたもの。
それをまたついで飲んで・・いつの間にかその場に寝ていた。
夜中、寝ていたら何かに気付いた。
誰かが思いっきり抱きしめてる。
”ん!?なに!?誰!?”
頭はまだクラクラしていたがちょっと離れようと移動を少ししようとしたその時、激しくキスをされた。
手は頭に回され、キスは激しくなる一方。
舌も入ってきて抵抗さえできない。
そしてだんだんと下のほうに手がおりてきた・・・
”力の強さからして百合ではない・・。どっち!?でもこの香水って・・毅くん!?”
そう。美紗子に激しくキスをしてきたのは毅だった。
隣には百合が寝ている。竜次だって。
気付かれないか不安だった。
ちょっと抵抗してみたがいつの間にか上の服は脱がされ、ブラだけになっていた。
そして手はブラを上に持ち上げ、毅は毛布に潜り次は胸を口で激しく責めた。
”テイコウデキナイ・・・・”
感じやすい美紗子は力が抜けてしまい、漏れてしまいそうになる声を殺して身を委ねた。
多分時々漏れてしまっていただろうが。
そのとき、またキスの嵐に。
そして抱きしめられてまたそのまま毅は寝てしまった。
美紗子は自分の部屋で相当後悔をしていた。
”絶対軽い女と思われた!!!!!!!!!!”
美紗子は決して軽いタイプではない。
恋多き女ではあるが簡単に誰にでも股は開かない。
だが、昨日毅としてしまった行動は軽い女と思われてもしょうがない。
朝、起きて気まずいかなと思っていたら毅は普通に接してきたから美紗子も頑張って普通に接した。
目がおかしく合ったりすることもなく何もなかったかのようだった。
家を片付けた後、竜次に家まで送ってもらって今に至る。
『はぁぁぁぁ~』
ため息ばかり出てきた。
”これは、きっと諦めろということなんだ。”
もう恥ずかしくて毅の前に現れることができなさそうなくらい気落ちしていた。
今日の天気も雨。
でも美紗子の心は外よりももっと強い雨が降っていた。
せっかくの日曜日ということなのに重い気持ちになっていた。
昨日見かけていた海外ドラマも見る気がおきなかった。
このモヤモヤしている気持ちをふっ飛ばしたくて出かけることにした。
でも1人では退屈だ。
誰か誘おうとバッグの中から携帯を探した。
そんなとき、携帯が光っているのに気がついた。
美紗子の携帯は着信やメールが来ると、開くまで7色に時々光るようになっていた。
[メール受信 1]
中を見てみると姫からだった。
”あーこの前のギャルの子だ。”
そう思いながら見てみると
『おつかれ。今度の週末暇なら飲まない?』
とまた絵文字たっぷりで書かれていた。
『お疲れ。うん、予定ないし大丈夫だよ。ところで今何してた?』
もし今から姫が暇ならと思い、絵文字を使ってこう返事をしてみた。
すると5分後くらいに返事が来て
『よかった。よろしくね。今は家でゴロゴロしてたよ。みさこは?』
また絵文字たっぷりで来た。
暇なら誘ってみようと思い
『オッケー。つーか暇ならどっか行かない?カラオケとか行く?』
そう送るとすぐに返事がきた。
『行く!わたしの行きつけがあるから3時にPARCO前集合にしよう。』
すぐに
『は~い了解。』
と返事をしてお風呂に入ったりと、用意を始めた。
姫とはそんなに話してないがギャルが苦手な美紗子でも姫は別のような気がした。
確かに外見は話しかけにくい感じもあるが話すととても似たところがあった。
直感で、姫とは仲良くなれると感じていた。
3時前にPARCOについた美紗子はすでに姫がいることに気がついた。
”早っ!まだ3時前なのに・・”
そう思いながら小走りで姫のところへ行った。
美『ごめん、お待たせ!』
そう言うと姫はタバコを消しながら
姫『いいよ、今わたしも来たから。行こっか。』
そう笑顔で言った。
相変わらずギャル服で赤のミニワンピにもっこりした金髪の髪型で白のトレンチを着ていた。
カラオケに着き、部屋に入るとすぐに店員に
姫『生を2』
と言った。
お昼から美紗子は飲む気はなかったがもう店員に伝えていたので飲むことにした。
カラオケでは3時間歌ってビールを2人で10杯も飲んだ。
2人ともちょっといい気持ちになっていた。
会計の時に姫は
姫『わたしここの無料券あるから金いらねーから。』
と言った。
絶対全部無料にならないとおもったが姫が無料と言い張るので言うとおりにして御礼を言った。
店を出ると
姫『飲み行く?』
と聞いてきたので
美『行こっか!』
と言って飲みに行くことにした。
適当に居酒屋に入り、姫がソッコーで生を頼んだ。
そしてタバコに火をつけて言った。
姫『みさこ、何かあったの?』
直球だった。
姫は何かを悟っていたらしい。
美紗子はまだ2回しか会ってない姫だが、なぜか話したくなり全てを話した。
姫『つーかそのつよしにかかってきた電話にドラゴンが出るってことはたいしたことないと思うけどね。考えすぎだって。あとさ、酔ってエッチなんて普通っしょ。ましてやしてないのに。こっちも考えすぎ。』
ビールを飲みながら言った。
姫『軽いとか軽くないとかそんなんで諦めてないでやることやって諦めなよ。電話の女のことも関係ないって、それ多分。』
美『また遊んでくれるかなぁ?』
姫『そんな言ってないで自分から誘え!電話してきた女に負けるぞ!』
そう言われ、姫の意見もごもっともだと思った。
美紗子は恋に臆病になってしまっていた。
でも
姫『応援するって。愚痴も聞くって。相談ものるって。協力もするって。やれよ!』
という言葉に頑張りたいと思った。
姫の言葉に後押しされる形になったが姫がかっこいいと思った。
その姫は今不倫をしていた。
姫『わたしの彼氏なんてさー、会っても2時間だって。1発やったら帰るんだから。食事なんてホテルの部屋以外ではできないし。でもなぜか離れたくないんだよなー。男も他はいらないし。』
そう笑いながら言っていたが本当は淋しいというのはすごく伝わった。
美『別れてほしい?奥さんと。』
そう聞くと
姫『子ども、あいつらいないしね。あーでもビミョウ!』
と言っていた。
姫と別れるとき
姫『帰ったらつよしにメールでも電話でもちゃんとやれよ!』
と言われた。
やっぱり姫はわたしと合う。
わたしに足りないものを補給してくれる。
支えてくれる。
素敵な人だと思った。
心が晴れたのと同時に雨ももうあがっていた。
家に帰ってまず姫に今日のお礼をメールすると
『こっちも楽しかったし。また行こう!ちゃんと頑張るんだよ。』
と絵文字たっぷりで返事が来た。
そして毅に連絡を入れることにした。
メールで
『昨日はおじゃましました。泊めてくれてありがとう。また遊ぼうね。』
お礼だけのメールだが、これが今の美紗子には精一杯だった。
メールを送ってもしばらく返事は来なかった。
忙しいのだろうと思い、お風呂に入った。
ゆっくりお風呂につかって出た。
美紗子は最近薔薇風呂がお気に入りで、薔薇の花びらを散りばめて香りを満喫した。
お風呂から出ると携帯が光っていた。
急いで見るとメールは毅からだった。
『いえいえ。昨日は楽しかったよ。って俺、まじ飲みすぎて記憶ないけど。今何してたの?』
受信の時間を見るとメールが来たのは10分ほど前。
”記憶ないって・・あのこともないんだろうな・・”
ちょっと嬉しいような悲しいような気持ちになったがまたすぐに返事をした。
『わたしも楽しかった。記憶ないんだ!テキーラとか飲んでたもんね!今はお風呂からあがったところだよ。毅くんは?』
こう返事をしたら送って1分後くらいに電話がかかってきた。
美紗子はかなり緊張しながら電話に出た。
美『もしもし?』
毅『今、大丈夫かな?』
美『うん、どうしたの?』
毅『今、家?』
美『うん、そうだよ。』
毅『1人?』
美『うん。』
毅『来ちゃだめ?』
美『えっ!?うちに!?』
このときの美紗子を誰か見ていたらこの驚きように思いっきり笑っただろうというくらい驚いた反応をした。
毅『じゃ俺ん家くる?』
美『えっ!?なんで!?』
毅『んー、なんでだろうね。』
美『なんでだろうね!』
美紗子はビックリして汗までかき始めていた。
それなのに毅は笑いながら言っていた。
毅『だめ?』
美『・・いいけど・・』
毅『じゃ、10分で来る。』
そう言ってプツッと電話は切れた。
10分で来ると言って有無を言わせてもくれなかった。