それから年が明け、それでもみんな美紗子を待った。

毅はモテるほうなので会社や野球関係から結構女の子絡みの誘いがあったが、美紗子以外の女に目もくれず待っていた。

毅は以前、野球チームのマネージャーから言い寄られていたが、今はキッパリ縁を切り、昔と全く逆の女っ気の全くない男になっていた。

それだけ美紗子が心配だった。

自分があのときあんなことを言ったから。

妊娠していてもいい。

子どもを産んでからでもいい。

ただ、戻ってきてほしい。

それだけを願って毎日美紗子の家までりんごと散歩をしていた。

りんごはヤンチャだがもう立派な成犬になった。

そして冬は寒さを増し、ときには地面を白くすることもあった。

そんな寒い中でもりんごと毎日毅は美紗子の家に通った。

もちろんたまに竜次やもっくん、姫も来ていた。

そして2月19日の日。

その日も夕方、毅とりんごは散歩に来た。

だが車はなくいつも通り家に行ってもガランとしていて人の気配はなかった。

そして下に繋いでいたりんごを連れてまた家に帰り姫や竜次、もっくんに今日も何もありませんとメールをした。

これは4人の習慣になっていた。

そしてその夜、美紗子は戻った。

何も感情がない、そんな空っぽな美紗子は何も知らず部屋のベッドで寝ていた。