その日、美紗子が家に来ると言ったのに来なかった毅は不安でいっぱいだった。

”まさか、やっぱり彼氏とやり直すのかな・・”

何度もそのことを考えたが、プラス思考に考え直しずっと美紗子を待った。

電話しようか何度もためらったが、一応やめておいた。

きっと来ると信じて。

出勤するギリギリの朝の7時半まで一睡もせず待った。

だが、美紗子は家に来なかった。

仕事をしていても美紗子のことばかり考えた。

仕事中メールをしたが返事なしだった。

それでも夕方になればりんごのことで連絡が来るだろう。

そう思っていたが全く連絡がなかった。

家に帰るとりんごがお腹をすかせてしっぽを振って迎えてくれた。

全く連絡がないのも不安になり、あれから初めて電話をした。

『お客様のおかけになった番号は電波の届かない場所にあるほか電源が━━』

冷たい機械音が聞こえたのですぐ切った。

そしてこれ以上ないくらい不安な気持ちに襲われた。

”なにかあったんじゃ・・”

そう思ったが横ではりんごが毅を見ていたので散歩に連れて行くことにした。

散歩コースは昨日美紗子と初めて手をつないで歩いた川辺の道。

歩きながらずっと考えた。

”急に全く連絡がなくなるのは変だ。やっぱちょっと家に行ってみよう。”

そう思いながら散歩をしていると電話がなった。

毅は美紗子からかもと思い、急いで携帯を見たが相手は姫だった。

それでも毅にとっては美紗子の行方を知っている相手かもしれないと思い、急いで電話に出た。