「ふふ。それにしても、ほんとうに別嬪さんねェ。どうかしら?うちの息子なんて…」

「ああ、駄目だよおばちゃん。"レイちゃん"は凄く性格キツいから。たぶん、太郎君とは合わないよ。一応、遠距離の彼氏もいるしね」

「……はは、ご…ごめんなさい」

「そうなの?残念ねぇ」


シュウは、世間話で盛り上がったあと、野菜をいくつか買って店を出る。肉屋、魚屋、と商店街を一通り歩き、同じように俺を紹介した後に、惣菜屋でコロッケをふたつ買った。


―つ…疲れた。


「はい、レイちゃん」

「レイちゃんて呼ぶな、馬鹿」

「いいじゃん、レイちゃん。いちおう、女子の振りでしょ。口の利き方が悪いぞ!」


手渡されたのは、揚げたてのコロッケだった。