「…おい、まだかよ」
「ああ、うん。なによ、この後用事でもあるの?」
「ないけど」
「じゃあ、一緒に楽しめばいいじゃないの」
のんびりと、空を飛ぶ鳥を眺めるシュウ。
案内を頼んでおきながら、段々と苛々してくる。この町を流れる時間は、おかしい。随分とゆっくり時が進む。
分単位の世界で、何年も生きていた所為か、酷く居心地が悪かった。
そっと、服の上から傷跡をなぞった。
―くそ。こんなことがなければ、今頃…。
「桐生、桐生ったら」
「はいはい」
「そろそろ、行こう」
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