ちらりと見れば、むっとした様子で彼女は頬を膨らました。
「桐生は、"小林秀宇"のファンだったのね」
「……」
「憧れのあたしの前だからって、そう照れなさんな」
―…こんなエキセントリックな女に憧れていただなんて…、心底認めたくない。
シュウは、近くの商店街まで買物にいくというので、そのまま一緒についていくことにした。
越してきたばかりで、右も左もわからないので助かった。
「ねえ、桐生。どうでもいいけどさ、きょうみたいに曇りの日にその派手なサングラスかけてると余計目立つよ」
「…シュウは知らないかもしれないけどな、俺は一応、名前と顔も知られてるんだぜ」
「この町は小さいんだから、不審に思われると厄介だって言ってんの」