次々と思い浮かぶソレに小さく舌打ちをして、気分転換に何か飲もうと冷蔵庫を開ければ、この部屋に引越して三日、一度も買出しに行っていないので当然ながら何も入っていない。


「なんだってんだよ」


溜息をついて、久し振りに自分の部屋から出る。

この町に知り合いなんていないし、とてもじゃないが日本にいる友人に会いに行ける状況ではない。

こんな格好で。


階段を降りようとしたとき、ガチャリと鍵が開く音がした。

思わず見上げれば、「うげ」とあからさまに顔を歪めるムカつく女がいた。


伸ばしっぱなしの栗毛に、洒落っ気のないワントーンのワンピース。引っ掛けただけのサンダル。

色白で、すらりと伸びた手足くらいしか褒めるところは見当たらない。


…それにしても、だっせえ格好だなあ。