それに礼を行って、逃げるように部屋から出た。
いくら外の空気を吸っても、吐き気はいっこうに収まらない。それどころか、人混みに出てますますそれは酷くなったように感じる。
カシャ、とカメラのシャッター音が聞こえた。
はっとして音のした方を振り返れば、そこには随分立派な一眼レフカメラを持ったパパラッチの青年がにやりと笑うのが見えた。
…駄目だ。
怒りのままに、そのカメラを地面へと叩きつけて、青年を思いきり殴ってしまいそうな衝動に駆られる。
『…え、あれ!レイジじゃない!?』
視線が集まる。逃げ場がない。混乱が身体中を巡って、わけがわからない。
自分の身体は、一体どうしてしまったというのだ。