猫のように、身体をくねらせて、誘う仕草。
俺が着ていたジャケットを剥ぎ取って、邪魔だとばかりに投げ捨てる。
それは、サイドテーブルに当たり、乗っていた本が数冊床へと落ちた。
『レイジ、あなた本が好きなの?』
『暇つぶしだよ』
オリビアは、何が気になったのか、すぐ傍に落ちた一冊を拾い上げる。
オリビアが手にとった本。そのタイトルを見た瞬間、俺は彼女からそれを奪い取っていた。驚いたように俺を見る。
『ああ。悪い…』
『なによう。そんなに大切な本なの?』
『そう。ファンだから。これ、本自体は既に絶版してるから貴重なんだ』
『ふふ。レイジがそういうのこだわるのって何か意外。可愛い』
そんなことを言われても、全然嬉しくない。