言葉なんて待たず、さっさと隣に腰掛けて、『同じものを頂戴』とバーテンダーに声を掛けた。

運ばれてきたグラスを、俺のグラスにカチンとあてて、口にする。


『うん、美味しい』


ふう、と息をついて、にっこりと笑う。

猫のように気まぐれで、不意に妖艶さを見せる彼女は、Breakfast at Tiffany'sのホリーゴライトリーにほんの少し似ている。

距離を近めたオリビアの腕が、一ミリの躊躇いもなく身体に回された。


ツンと、きつめの香水が鼻を掠める。