「…言いませんよ」
「なんだって、」
「俺も、シュウも、芹生も、このことは誰にも言いません。だから、あなたも。小林秀宇についての情報を一切漏らさないでいただきたい」
変態は、驚いたようにわたし達を見つめた。
「あんたは、編集者だろ…。いいのか?こんなスクープを目の前にして」
「ゴシップには興味がないんだ。それよりも、小林秀宇を守ることのほうが余程大事だ」
真剣な顔で、はっきりとそう言った。
静香は、"好きなもの"について貪欲だ。
好きなものが好き、という信念はあまりにもストレートでいて眩しい。他人がつける価値などでそれを曲げることは決してしない。
それは人間に対しても言えることで、"好き"という感情を前に、性別というもので人を区別しない。
それゆえに、バイ・セクシャルでもあるのだけれど、わたしはそんな彼のことがとても好きだ。
感謝もしている。