「作家?」

「そうですけど。それが、何か」


変態は、あたしの頭のてっぺんからつま先までを、なんの遠慮もなくジロジロと視線を何度も這わせる。

考えていることがあからさますぎて腹立つわ。


「アラレ、おまえ、もしかして……、小林秀宇、とか言わないよな。お願いだ、違うと言ってくれ」

「むかつく、この変態。小林秀宇は、わたしのことだ」

「まじで!」


あからさまにショックな様子を見せる変態。大体にして、わたしはアラレという名前ではない!

ゴホン、と静香があたしの隣で咳払いをして見せた。変態は、いまだ戸惑った様子でオロオロとしている。


なんなんだこいつは。

映画やテレビドラマといった類は、殆ど見たことがないから、どれほど凄い男なのかというのもよく知らない。

けれど、見た限りで言えば、顔がイイだけの失礼な変態じゃないか!