「薫子さん、あの」
上機嫌な薫子さんは、にっこりと微笑んで首を傾げた。
ちなみに現在、AM7時30分―
昨晩の騒動から一夜明け、わたし達はなぜか、このアパルトマンの中庭に呼び集められた。そこには何も知らずに現れた芹生までいる。
改めて、薫子さんが私の隣に引越しをしてくる(非常に迷惑な)彼女の甥っ子を紹介したいと言い出したのだ。
「なあに?シュウちゃん」
「この変態野郎のことなんですが…」
「変態じゃない」
「変態だろう。女装したうえに、女子の部屋に上がりこむなんて」
「…女装じゃなくて変装だ!ついでにいうと、あんたに手ェだすほど危機的状況に陥ってもない。なんだその似合わない眼鏡。アラレちゃんかよ」
「なんだと!」
声を上げた瞬間、「まあまあ」と、静香がわたし達のあいだに入って宥めてきた。