バン、と扉が勢いよく開いた。


「…シュウ?彼女、具合は…って、うわ!!!」


言いかけた時、シュウは何も言わずに俺に向かって、何やら真っ黒い物体を投げつけてきたのだ。

慌てて顔にかかったそれをはらいおとせば、ばさりと床に落ちて広がる大量の髪!


「わあああああっ!」

「……」

「何するんです!!!」


思わず声を上げれば、シュウはなにやら押し黙ったまま、ちらりと部屋の奥に視線をやる。

なんなんだ、この様子は。

改めて、投げつけられた髪の毛を確認すれば、それはいわゆるウィッグというやつだった。美しいブルネットのロングヘア。


…これ、どこかで、見覚えがあるのだけど…。