「んあ、…うっ」


なにやら艶かしい声が聞こえてくる。もちろん、迷惑な彼女のもので、シュウがいかにも面倒臭そうに声を掛ける。


「どうしましたかー」


眉間にシワを寄せて、苦しそうな呻き声。


「濡れたシャツが気持ち悪いのかなあ」


首を傾げながらシュウがその場でシャツのボタンを外そうとするのを、慌てて静止する。


「ちょ、ちょっと待ってください!俺、隣の部屋にいきますから」

「え?なんでよ。折角なら見ていけば?」


あっけらかんと言うシュウを睨めば、小さく舌を出しながら「冗談なのにい」と言って肩を竦めた。なんて信用ならない言葉だ。

彼女に任せるのはいささか心配だけれど、さすがにまったくの他人である俺がボタンを外すわけにもいかない。


扉の外で小さく溜息をついた。