芹生が慌ててカウンターから出てきて、そっと彼女の様子を見る。
「よかった、眠っているだけだ」
「…というか、間違うことなき美女だね。睫毛長い。意地悪美女、次作の参考にさせて頂きたいなあ」
シュウが勝手に、彼女のサングラスを持ち上げて、惚れ惚れという。
「やめとけよ、先生。あの調子じゃ、フツウに引っ叩かれそうだぜ」
「痛いのは嫌だ…」
芹生は飛び散った破片を片付けて、騒がしてしまったお詫びにと、ノンアルコールのフレッシュジュースを絞ってくれた。
それから1時間しても、ピクリとも動かない彼女。
「…困ったな。店閉めらんない」
「店の外に放り出しとけば?」
「馬鹿言え。先生じゃないんだぞ?こんな美女が道端に寝てたら危ないだろ」
さりげなく失礼なことを言われたシュウが、頬をふくらましている。