「シュウには・・・、どんな色で見えて、どんな風に言葉にするんだろうな」
「・・・え?」
「もし、シュウが、あの風景を目にしたのならさ。あんたが生み出すのなら、絶対特別なものになるに違いないのに。それが読めないのは残念」
シュウはパチパチと目をしばたかせた後、勢いよく顔を伏せたまま固まってしまった。
どうしたんだと、身を乗り出してシュウの顔をのぞき込もうとすれば、すぐさま逃げるように反らすのだ。ガキみたく、半ば意地になって、シュウの頬を両手で挟んで無理矢理こちらに顔を向けさせた。
「大丈夫か?顔真っ赤だぜ」
「そりゃ、怜ちゃんみたいな美人にそんな風に言われたらいくらわたしでも照れますよ」
「シュウにしてはまともな感覚だな」
「・・・なによそれー」
酢だこみたいなシュウが、じとりとした視線を俺に向けてくるのに思わず笑う。
なんて、穏やかな朝なのだろう。
そう思えることが不思議でしょうがなかった。