「それでは、いただきまーす」

「…いただきます」





テーブルを挟んで、シュウが機嫌良さそうに手を合わせているので、俺もそっと真似してみた。
こんな風に他人と手作りの朝食を共にするのは、ほんとうに久し振りだ。

あっちではひとり暮らしをしていたし、そもそも料理をしようなんて思いつきもしなかった。

銀のスプーンでそっとスープを掬う。
一晩置かれたせいか、ジャガイモはとけてほとんど形が残っていない。


ひとくち、ふたくち。

黙々と口にしていると、ふとシュウの視線がずっと俺に向いているのに気がついた。


「なんだよ」

「こないだ三人で鍋したときも思ったけど。怜ちゃんって、品よく食べるよね」

「はあ?何言ってんだ」

「ほんとうだよ。凄く絵になると思う。ナナが見たら即座にシャッター押してるだろうな」