シャツの上から、とんとんと胸を叩く。 「怜ちゃん、迷惑掛けてしまったお詫びに、朝ごはん食べていかない?きのうの残りだけど、ミネストローネがあるんだ」 そう言って、俺の返事を待たずにキッチンに立つ。 赤色のルクルーゼの鍋を火に掛けて、パンをトースターに入れる。 暫らくすると食欲をそそるいい香りが部屋をつつみ、自分の腹がぐうっと音を立てるのを聞いた。