内心呆れながら、そっとカーテンを引く。
そこには、寝癖のついた栗色の髪を無造作に束ねたシュウが机に向かう後姿があった。
初めてこの部屋を訪れたとき、ガラス棚に入れられていた濃いブルーの万年筆がしっかりと握られている。
その背を、俺は見たことがあった。
どこでだろうとまだ寝起きではっきりとしない記憶を巡らせれば、それは昨晩偶然見つけた写真にいきついた。
シュウは、こちらに気づかない。
そばに置いた分厚い書物にざっと目を通したり、小さなうなり声をあげて首を傾げたりしながら、万年筆をさらさらと動かしている。
心臓が、どきりと音を立てた。
-俺は、その背から、目が離せなかった。