レオンは愛するティナを傷つけてしまい愕然となった。


「レオン!」


愕然となり動かないレオンにエミリオが叫ぶ。


「レオン!」


「愛する奥方を傷つけてショックを受けているようだな これは愉快だ」


短髪男はティナの腕から流れる血を舐めていく。


「ティナに触れるな!」


レオンの怒りが鋭い空気の刃物になって短髪男の頬をかすめる。


「何が目的だ?」


「レオン閣下が死に、奥方様を私の妻にしたいのです」


「お前が人間の娘に入れ知恵したんだな」


「ええ あの娘は肺病、ヴァンパイアになりたがっていたのでね、でも娘をヴァンパイアにするのは私ではない、貴方です そうなれば奥方の気持ちが離れていくでしょう」


まだ人間そのものの感情を持つティナは側室としての女を受け入れない。