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「エミリオ様、まだレオン様の馬車は見えないですね?」



レオンは街の方向から戻って来ると思っていたティナだが、馬は森の奥へと進んでいく。



「もうすぐだと思うよ」


頭の上で声がした。



ティナは髪に指を感じて、一瞬身体が硬直した。



エミリオ様……?



「もうすぐ……もうすぐだ ティナちゃん」



遠くの方に明かりが見えた。



どうやら一軒家のようだ。



それも部屋数が多いようで、たくさんの窓ガラスから漏れる明かり。



どうして……?



何かがおかしいとティナは感じ始めていた。



髪に感じるエミリオの息遣いに、ティナは心の底で恐怖心が芽生え始める。



ティナは身体をこわばらせて振りかえると仰ぎ見た。