アメリアがいつもは見せない焦りの表情で居間に現れた。



そこにはソファーに座ったエミリオが本を読んでいた。



「エミリオ様、ティナ様を知りませんか?」



「ティナちゃん?部屋に戻ったはずだど?」



そう言った途端に、エミリオの端正な顔が険しくなる。



「ティナちゃん!」



エミリオが窓から庭へ出る。



エミリオの嗅覚はティナの甘い血の香りと別物の匂いを感じた。



「くそっ!」



エミリオは香りの残る方へ走った。




【ご主人様、いまどちらにおられますか?】


アメリアはレオンに念を送る。


【あと少しで着く】


【ティナ様が何者かに攫われたんです!エミリオ様が追っています】



レオンからの返事はなく会話は途切れた。