そう言えば昔の彼氏に

言われたことがある。

「ペアリング買ったら、

薬指につけてくれる?」って。

彼は真剣だった。

だけどあたしは

首を横に振り続けた。

ペアリングなんてつけたら

男友達が気を使うし、

かたちのあるものなんかで

縛られたくなかったから。

そしてなにより・・・、

薬指は将来のあたしの

旦那さんになってくれる

ひとのためだけに

とっておきたかったんだ。

だから拒否した。

その彼はあたしにとって

それほど大切な存在じゃ

なかったのかもしれない。


そして・・・、今。

あたしには心から

好きと思えるひとがいる。

そのひとが言った。

「指輪のサイズ、何号?」って。

まさか・・・、ペアリング??

昔の彼を思い出した。

あの彼からのペアリングは

あたしにとってはっきり言って

邪魔なだけの存在。

だけど・・・、今は違う。

あたしはこのひとの

ものなんだって、

かたちで証明してほしい。

このひとになら縛られたい。

このひととお揃いの指輪で

あたしの薬指を埋めて欲しい。

まだ指輪の聞かれただけなのに

早とちりしまくってる、あたし。